ある夜の出来事 DOWN TOWN

その夜

 

ジョージが大量の仕上がりクリーニングを抱えて御来店頂いた。 

 

香港へ

転勤前夜…

 

ジントニックをお召し上がりながら

 

東京ラストナイトの心境を語って頂く、、

 

「お元気で、またお会い出来る日を楽しみにしております。」

 

「行ってきます。」

 

 

 

 

十年後______

 

「どーーーも、お久しぶりです、ジョージです。」

 

ジョージは凱旋帰国となった。

 

店内を見渡し

 

「変わってないですねぇ。」

 

「ちょと痩せましたか。」

 

「バイクがないですね。」

 

当時の出来事から

 

ソウルミュージックのマニアックな話まで、、

 

私自身も忘れてしまっていた出来事まで語って頂いた。

 

「そんな事、ありましたねぇ〜」

 

「はいはい、アレだ…

スタックスレーベルのCDですね。」

 

十年前と変わらぬ

こだわりのシャツにカフスボタン

ジントニックをお召し上がりながらの思い出話

 

(懐かしい…)

 

よくお客様に

〝マスターは、しょーもない事もよく覚えていますね〟

 

と言われる口ですが…

ご本人を目の前にすればあの日の出来事を

映画のワンシーンのように思い出せるのです。

 

 

そろそろ、、

 

ひと昔が…

 

十年単位になってきた。

 

それでは今夜もこの辺で、、

〆は…

高知市から

天然真鯛出汁の鯛茶漬け箸休めに瓜のお漬物さんのリクエストです。

良い週末を

おやすみなさい。

ある夜の出来事 BABY BLUE

友人

恋人

夫婦

同僚

接待

先輩後輩

などなど

 

男女の御来店も様々、

 

その夜______

 

御来店頂いたカップルの関係は

 

最後までわからないまま

 

お会計となった。

 

お釣りをトレーに乗せてお渡し

 

女性からお声掛け頂いた。

 

「マスター!私たちの関係わかります?」

 

男性がさえぎるように

 

「もう、いーから…」

 

「元彼、元カノなんです‼️」

 

「あっ、そーーーーなんですか。」

 

女性は

 

立ち話がてら

 

今は別の道を進んで

 

年に一、二度こうやって近況を語り合うのだという。

 

足元がおぼつかない元カノを元彼は

 

優しくエスコート、

 

「どうも、お騒がせしました。」

 

「いえいえ、お気をつけてありがとうございました。」

 

お見送りする後姿…

 

あの日のままなのかもしれない。

 

 

それでは今夜もこの辺で

〆は…

港区から

ウルフギャングTボーンステーキ1キロ一徳さんのリクエストです。

素敵な週末となりますように

good night…

ある夜の出来事 エンドレスラブ

「あ〜〜〜!」

 

「そっち、そっち!」

 

「きゃーーーー!」

 

平日の夕刻時

表が騒がしい、

店前が更地になった建築現場を覗き込み大人達が騒いでる。

 

何事?

火を使う作業がひと段落したところで

野次馬根性丸出しで人集りに向かう。

つま先立ちをして建築現場を見ると、、、

 

あらまぁ♡

カルガモ親子が更地になった土場を走り回っている。

 

えっ、どっから来た❓

 

皆、首を傾げるばかりだ

 

パニック状態のカルガモ親子、

 

小ガモが

穴に落ちたり

逸れたりすると

我慢ならない人たちが工事現場の柵を潜り

小ガモを親ガモまで運んでいる。

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〝ピーーピーー〟

 

〝ガーガーガー〟

 

言いながら

ドラフルの前を通過する。

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ピンボケ、私もパニック❗️

お隣さん(青)ののれんを潜るカルガモ親子。

 

逸れた小ガモを両手で拾い上げた女性が急いで親ガモまで運ぶ

 

「待ってーーー!」

 

住宅街とはいえ交通量はそれなりにある。 

 

カルガモ親子の後方には

気が気でならない人たちが

カルガモ親子以上の

群れをなしてついていく、、

 

この先

どこへ行くのだろうか…

 

代々木公園、

代々木八幡宮

いやいや

山手通りは渡れない、

カラスもいる

狸もおる

夜は雨の予報…

 

出逢った以上

元気に巣立ってほしい

ただ、

それだけです。

 

それでは

今夜もこの辺で…

 

蒲郡市から

大あさり焦がし醤油浜焼次郎さんからのリクエストです。

 

梅雨前の貴重な晴れになりそうですね

 

素敵な日曜日となりますように

 

good night…

ある夜の出来事 悶絶

〝あ〜そこそこ♡〟

 

〝あ〜〜も〜ちょと…強く♡〟

 

〝あ〜〜〜キモチいいーー♡〟

 

 

 

 

時にドラフルは、

マッサージ庵になる事があります、

カップルで御来店頂き会話の流れから肩こりの話へ、

どちらかが背後に回りマッサージを始めるのです。

アルコールも回り容赦なく揉みまくり、

 

私は

グラスを倒さないよう手前に引いておきます。

 

「あ〜〜気持ち良かったぁ…選手交代!」

 

女性が

和み癒される表情は美しいものがありますが、

 

男性が

白目をむき口が半開きとなった逝き顔を

真正面で見るのは耐えがたい光景でもあります。

 

時にはヘッドロック

親の敵かのような強烈なツボ押し、、

 

(無茶すると揉み返しくるで…)

 

そんな私もですよ、

親指が九十度に曲がるタイプでして

各ツボに強弱をつけられるゴッドハンドと自負しており、

 

お客様には大変なご好評頂いております。

 

日頃のお疲れモードは

ドラフルにお任せ下さい。

あなたの

心も体も癒やします…

 

それでは今夜もこの辺で、

〆は、

桐生市から

天津飯と餃子二枚ポケットのレシートで思い出したさんからのリクエストです、

 

夏日予報の関東地方、

素敵な日曜日となります様に

 

good night…

ある夜の出来事 CB750K4(1974)

ライムを探しにニ店舗目、、

 

初台オーケーストアに到着して残り三個を買い占めて駐輪場に戻ると

 

「おっ!」

 

一歩、二歩、三歩と後退り…

 

CBだぁ、

タンデムシートに五キロのお米を括りつけてる若者に声をかける。

 

「かっこいいすね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「K1ですか?」

 

「いえ、K4をK0仕様にしてます。」

 

「へぇ〜音聞かしてよ。」

 

「はい。」

 

カチッ…(キーがONに)

 

キュルキュル…(セルが回る)

 

ズゥオン‼️

ズゥオーーーン‼️

 

おぅ〜おぅ〜おぅ〜

HM300マフラーはシビレるわぁ。

 

若者は私の目を見て

 

「好きですか。」

 

私は恥じらいながら…

 

「はい、大好きです♡」

 

若者はコクッと頭を下げて甲州街道方面へ、、、

 

「気をつけて!」

 

ズゥオォーーーン‼️

ズゥオォーーーー‼️

ズゥオォーー❗️

 

わかってるねぇ〜

 

今日は

ライムちゃんのおかげでいいモノ見せてもらったよ。

 

開店十分前_____

 

急いで店に戻る

 

今夜も最高の夜になりそうだ。

 

 

それでは今夜もこの辺で、、

松山市から貝塚たこ八郎さんからのリクエストです、

素敵な日曜日となります様に

おやすみなさい。

ある夜の出来事 陽はまた昇る

〝ザァーーーーーーー〟

BGMを掻き消すような

冷たい雨が降り続いた一日だった。

 

そんな夜…大阪から

金融一筋35年、

企業向セミナーを開催して業界からも一目置かれる存在、 

ミナミの帝王

〝鬼軍曹〟

〝相談役〟

との称号を持つ金融マン

マックスに御来店頂いた。

 

「どーーーも石原さん、お久しぶりですお元気でしたか。」

 

「はい、お陰様で元気にやらせてもらってます。」

 

屈託のない笑顔の中にも鋭い眼光は今日も現在だ、、

 

お土産に八つ橋をいただき、

 

「いつもありがとうございます。」

 

(中略)

 

昭和、平成、令和と

日本経済の発展と後退の迫間を最前線で戦ってきたマックスはグラス片手に語ってくれた。

 

これからの時代は

がむしゃらに働いてお金を稼ぐ時代はそろそろ終わり、

 

〝資産運用がカギになってくるという〟

 

恥ずかしながら私は金融の知識は一ミリもない、

円高円安の理解も出来ていない。

 

そんな私に

マックスはスマホを片手に説明してくれた。

 

コースターに走り書きのメモを取れたのはこの四つ、

SP500

にーさつみたて

ドルだてちょ金

高橋だん?

 

マックスは代々木上原の本屋にある千円前後の入門書を読むことから勧められた。 

 

雨も上り

 

「お会計して下さい、帰って勉強します。」

 

閉店後_____

私はネット証券に申し込みをしてみた。

自動返信メールには、

 

〝現在お申し込み多数のため審査完了まで一週間程かかります〟

 

それでは今夜もこの辺で…

横須賀市からZ1300寅吉さんからのリクエストです。

 

皆様よい週末を!

おやすみなさい。

ある夜の出来事 スーパーモデル御来店の巻

その夜…

 

カウンターのお客様と与太話でゲラゲラ笑っていると、、

 

〝チリーーーーン〟

 

オニヤンマのようなサングラスをかけスラっとした女性が一人で御来店、、

(一秒でモデルのバルバラだと認識できた。) 

 

「いらしゃいませ。」

 

迷いもなく私の方へ…

 

お客様もその様子を固唾を呑んで見守る。

 

バルバラはキッチン前に到着、

 

その距離50センチ、 

 

(えっなになに…?)

 

目線は私より上、

顔の大きさは私の半分、

サングラス越しにお声かけ頂いた。

 

ジャスティンさんで予約してあります。」

 

「えっ!?」

 

「いや、、あのぅ…本日ジャスティスン様ではご予約頂いておりませんので多分ですけど…お隣さんではないですか…」

 

と私は小声で伝えるも

 

「やだぁ〜間違えちゃたー‼️」

 

店内に響き渡る声で退店、

 

この飾らないキャラクターが

人気…いや一流の証なんだろう。

 

それでは

今夜もこの辺で、

〆は…

世田谷区からビックマック3個記憶ナシ子さんからのリクエストです、、

おやすみなさい。