心に春が来た夜

今週は

昼と夜の寒暖差が激しかった。

そんなある夜、

22時を過ぎた頃に

カップルにご来店いただく

カウンター席にご案内をしてオーダーを待つ

男性は

ブードルスのソーダにライム、

女性は

タンカレーNO.10のジントニックをチョイス。

若い二人だが

バー慣れしているようだ。

二人の会話も弾み

時より大きな笑いも聞こえる。

(中略)

三杯目をサーブした時、

男性は

Tシャツだけとなり、

女性は

ボアのアウターを羽織ったままだ。

「あのぅ…お話中すみません、

暑い、寒いとかありますか。」

二人は口をそろえて、

「ちょうどいいです‼️」

それでは

今夜もこの辺で

素敵な週末を

今夜のラストの一曲は

赤いスイートピー(1982)

作詞が松本隆

作曲が呉田軽穂とあるが、

これは匿名で松任谷由実(ユーミン)が作曲したと遅らせばながら最近知りました。

OH! ギャル

その夜、

天辺を過ぎた頃、

男性が扉を開け、

「…五人で二人飲めないけどいいですか。」

「もちろんどうぞ!」

私は

奥のテーブル席を指してご案内した。

飲めないとは、

下戸か禁酒中かと思いきや

小学生ぐらいのお嬢ちゃん二人の事だった。

聞こえる会話からパパと娘二人と友人男性二名と判断できた。

パパは生ビールで

友人男性は、

ジントニックとシャンボールカクテル、

お嬢ちゃん二人は

オレンジジュースとクランベリージュースをチョイスした。

全員のドリンクをテーブルにサーブして

「はい、かんぱーーい!

◯◯◯ちゃん八歳のお誕生日おめでとう!」

チンチンーーーー。

なるほど…

上座の娘さんが天辺を回ってお誕生日となった。

パパが記念にスマホで数枚の写真を撮り、

娘さんに見てもらう。

「…ダメ撮り直して。」

お嬢ちゃんは背筋を伸ばし髪を整えて

〝このアングルで〟と指定する。

私は

グラスを拭きあげながら思った。

八歳にして…

女性の美しさを

完璧に表現していた。

それでは

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…

地球のような丸い氷

その夜、

私はボックス席のお客様の

ロンサカパセンテナリオのロック三杯を一気に作っていると

カウンター席の

ジョージとキャシーが質問してくれた。

「この…丸い氷って

意味あるんですか?」

そこで今夜は

〝バー講座氷編を開催〟

バーの氷は

寿司屋に例えるなら米(しゃり)だというバーテンダーもいるぐらい

バーの氷の存在はでかいと思っている。

お酒や音楽は買えば揃いますが

ドラフルの

丸氷はグラスに合わせて一貫から削って作るので

二つとして同じ丸氷は存在しません。

グラスによってサイズも違うので

その場で調整することもあります。

グラスとの一体感がないと、

私的には

しっくりこないのです。

丸氷は見た目だけでなく、

理にかなってもいるのです。

氷は

角から溶けるので、

角を落とし表面積を少なくして

お酒との接点を最小限したのが丸氷となります。

これにより

お酒が薄まるのが遅くなり、

最後まで美味しくロックがいただけるというわけです。

最近では、

氷を包丁で

ブリリアントカット(ダイヤモンドカット)を作るバーテンダーもいる。

早速、

YouTubeを見てその気になった私は、

通販サイトで包丁をゲット、

速攻で

氷に負けて包丁をパーにした。

それでは、

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…

ジェームス・ディーンを語る夜

週末の夜、

ヤンキースのダメージキャプを被ったアメカジ男性と

カジュアルジャケットを羽織った男性にご来店いただく、

「代々木八幡でお寿司を食べて帰ろうと思ったら

かっこいい店だなぁ…と思って寄ってみました。」

「それは、ありがとうございます!」

オーダーは

マッカランハイボールと山崎のロック。

会話は

寿司屋の続きのようで

互いの二十代後半の娘さんの心配ごとだった。

(中略)

二杯目のオーダーでバックバーを眺めていると

「あれはマスターのポルシェ?」

「いえ、違いますよ。」

「ちょっと見せて。」

私は

ポストカードを手渡しながら…

「ジェームス・ディーンのポルシェで、

この数日後に事故って亡くなったので最後の写真なんです。」

「ジェームス・ディーンねぇ…

エデンの東、

ジャイアンツ、

あと…理由なき反抗、

今の人は

知らないだろなぁ

二杯目の山崎のロックを飲み干して、

「なんでだろう、

娘もさぁ…

クラッシック音楽は聴くのに

古い映画も観ろって言ってんだけどさぁ

観てくんないんだよねぇーー!」

相方が腕時計に目をやり

「電車なくなる、お会計で!」

それでは

今夜もこの辺で

素敵な三連休となりますように

おやすみなさい。

※私が十八才の頃に買ったジェームス.Dのポストカード

あれから四十年、五回の引越しをしても

思い出したかのように本の間から出てきてくれる。

f:id:bardragonfruit2002:20260219183430p:image

とんねるずのみなさんのおかげでした

その夜、

22時を過ぎたころ

「こんばんは、三人で後で数人来ます。」

「奥の席どうぞ。」

思い出した!

一年に一度ご来店いただけるイケメングループのリーダーの方だった。

のちに一名様づつご来店で

合計七名となった。

上座の男性が

「一年ぶりのドラゴンフルーツです。」

「ですよねー、今年もありがとうございます!」

もう四、五年同時期に来店いただいていると思う。

皆さん、

クールなファッションとクールな髪型をしていて

記憶に残るイケメングループ、

飲み方もスマートで礼儀正しいのです。

オーダーは

クラフトジンを使ったカクテル、

ジントニック、モスコミュールに

ハイボールと各々のお酒を楽しんでいただく、

最後にご来店いただいた

男性は

クランベリージュースをオーダーして

改めて乾杯となった。

(中略)

杯も進み、

「…お会計お願いします!」

「はい!ありがとうございます。」

集計しながら聞こえた。

「ここは、

男気じゃんけんにしませんか。」

「いーーすねぇ。」

皆さん、

賛同しているのがわかった。

前代未聞 

空前絶後

二十三年のドラフルで

お初となる男気じゃんけんが始まった。

「男気、男気じゃんけんポン‼️」

「イェーーーー❗️」

「あちゃーーー。」

童心に戻った少年の歓声が店内に響き渡る。

私は

集計した伝票を胸もとに伏せて勝者をジッと待つ。

数回のじゃんけんののち…

なんと!

最後に

ご来店いただいた

クランベリージュース一杯の男性が一本勝してしまった。

「ご馳走さまっす‼️」「ご馳走さまっす‼️」

「ご馳走さまっす‼️」「ご馳走さまっす‼️」

「ご馳走さまっす‼️」「ご馳走さまっす‼️」

男性は

全く悔しがる様子もなく

「これでお願いします。」

ブラックカード

伝票の上にそっと乗せてくれた。

それでは

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…

アメリカに憧れたあの頃

その夜、

外国人男性にご来店いただく、

メニューをめくる感じから

日本語がわかるようだ。

カミカゼをお願いします。」

「かしこまりました。」

私は

シェーカーを取り出してライムを絞る。

完成させて一口召し上がったところで

「お近くですか?」

「はい、

一ヵ月前に横浜から引っ越してきました。」

男性は

二十七才のアメリカ人、

シェアハウスで多国籍の八人で生活をしているという。

学生の頃はアメフトをやってて、

麻雀と日本のアニメが好きだという。

仕事は

サイバーセキュリティー系の会社で勤めながら

日本語学校にも通っているという。

私の理解が正しければ…

この半年間、

日本滞在ビザの期限が迫ると

香港やタイに出国して再度、日本に戻ってくるという。

「何でそんな面倒な事になるの?」

「今の日本は海外から移住したい人が多過ぎて、

ビザの申請が間に合わないという。」

「そうなんだ!

最終的にはアメリカに戻るんでしょ?」

男性は

首を横に振りながら少し困った表情をした。

少し言葉を選びながら…

話してくれた。

今のアメリカ、トランプ大統領になってから

非常に不安定になってきたという。

政治や移民問題などでとても危険な感じがするという。

男性は

特にコンプレーナーが増えているという。

私は

コスプレヤーの何が危険なのかと思ったら、

「ノーノー!」

男性はスマホで検索する、、

「コンプレーナーとは文句を言う人。」

「あっーー、クレーマーね!

それは、日本にもいるよ。」

「ノーノー!

クレーマーは言葉だけだけど…

コンプレーナーはもっと悪質で暴力的だという。」

「そーなんだ…初めて聞いたわ。」

男性は

二十七才にして日本に永住したいと思っているようで

ひとりでバーに来れるのも魅力のひとつだという。

「そーなんだ…

ウェルカム トウ ジャパン!」

二杯目は

シーブリーズをチョイス。

「少し明るい話といったら何だけど…

日本食は好き?」

「はい大好きです、でも納豆、うに、明太子、イクラが苦手です。」

「なるほど…魚卵ね。」

「ギョラン?」

「そう魚卵。」 

男性はスマホで検索、

彼にも

新しい言葉を覚えてもらった。

それでは、

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…

金のシャンパン夜空にこぼして

その夜、

ボックス席をご予約いただいたレノン御一行様にご来店いただく

主役は

上座に座るジミーの四十歳の誕生日会、

平日なのもあり合計六、七名の予定で、

ご来店いただける時間もまちまちとなる。

レノンとは一ヵ月前から

この会に向けて何度となくメールのやりとりさせていただく。

〝サプライズケーキの持ち込み〟

〝フードやおつまみなどの調整〟

シャンパンを用意する〟

私は

ケーキはロウソクがあると更に雰囲気でますよ。

20:45

レノンのアイコンタクトで

お預かりしたケーキにロウソクに火を灯す。

選曲は、

ビートルズのバースデーを爆音で流しながらケーキを提供する。

バースデーソングは星の数ほどありますが、

ビートルズのバースデーは数秒でサビに達するのでドラフルではこれ一択です。

フードやおつまみは

ホットドッグ、ちくわの磯辺焼きやチーズなどを用意し、

箸やフォークなどを使わないでお召し上がれる事に重点をおいた。

スパークリング、近年では泡とも言いますが

その中でも

最高峰なのがシャンパンなのです。

一言で言うなら

フランスのシャンパーニュ地方で作られたものしかシャンパンと言えないのです。

シャンパンであればエチケット(ラベル)に〝CHAMPANE〟と表記してあります。

来客の度に乾杯となり、

笑いの絶えない宴となった。

(中略)

「宴も高輪ゲートウェイではございますが…。」

と、最新版で〆める。

電車組は帰宅の途へ、

近所組で延長戦となった。

最後に

来店したシンディーが残りのシャンパンを注ぐ…

グラスの中で

ゴールドに弾ける泡をじっと見つめる。

「私、シャンパンって初めて飲んだかも❗️」

それでは

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…