ある夜の出来事 乾杯をもっとおいしく。

今晩は、店主の石原で御座います。

 

オーブン以来、使い続けてきた初代、生ビールサーバーが、引退となり二代目のサーバーとなった。

 

襲名披露当日、私がカウンターの中で見守る中、業者二名が、粛々と初代サーバーの解体が進められ、二代目サーバーのセッティングされるその間、わずか十五分。

 

カウンター右端に新たにゴールドに輝く真鍮のタワーがそびえ立つ。

 

初代と同じ型番だが、全く別物に感じる…。

 

更に、す・べ・て・において最新型になった。コックを倒せば生ビールが

 

「すぅーーーー。」

 

出てくるのだが車に例えると重ステからパワステに変わったぐらいの滑らかさだ。

 

注ぎながら思う(やっぱり、新しいと気持ちがいいもんだ…)。

 

サーバー業者が

 

「これで、設置完了です…。ここにサインをお願いします。」

 

伝票に指を指す。サインを終えて、ふと、目を上げると、無造作に台車に乗せられた〝初代サーバー〟長年からなる経年劣化が否めない…。

 

業者さんと雑談ののち、

 

「ガラガラガラ」と台車を押しながら立ち去る初代…。

 

ここに来て急に、切なさが込み上げてくる。

 

そりぁそうだ…本当に長い付き合いだからなぁ…。

 

(今まで、ありがとう。貴方が居てのドラフルですから…お疲れ様でした。)

 

実は、引退の夜、最後の渾身の一杯は貴方様でした。

 

「ごちそーさまーー。」

 

「毎度、ありがとうございます。」

 

まぁ、日常のドラフルの風景それでいいそれでね。

 

ではでは、今夜から二代目からの生ビールの御提供となります。

 

グラスもピルスナーからタンブラーに一新です!

 

それでは、今夜も結局飲んでる黒ラベル、貴方様の御来店、こ・こ・ろ・よりお待ち申し上げております。

 

ちなみにですよ、初代サーバーが、御提供させて頂いたビールの杯数。約…、五万三千七百六十杯。f:id:bardragonfruit2002:20181012015534j:image