ある夜の出来事 カメラを止めるな!

      その夜、女性二名で、御来店頂く、、。

「お好きな、お席へどうぞ!」

「こっち?あっちにする?」

少し迷いながらも入口側のカウンター席に着席、東京弁と関西弁で、近況を語り合う。

久々の再会だなと判断出来る…ひとしきりの会話を終えた頃、、

「すいませーーん、写真お願いできますか?」

「もちろん!」

 

      昨年は、あえて…自撮りを楽しむ光景が店内でも見られたが、

近頃は、私にスマホを託して頂けるお客様が、増えて来た気がする。

  〝 任せて、ちょんまげ!〟

スマホを手渡して頂き、極力〝ヘリ〟をカニ挟みで持つ…、、これは、、以前、変なところを触ってしまい…カメラからインカメラ状態となり、戻せなくなってしまった経験を踏まえての所作となっております。

 

「はい!チーーーズ。」

「もう、一枚!いきまーす!はい、チーーーズ。」

「ありがとーうございまーす♡」

 

再度、〝ヘリ〟を持ち優しくお返しします。〝どれどれ〟と、言わんばかりに女性二人は、頭を寄せてスマホをの覗き込みます。

「、、、、、、、、、、。」

「?……撮れてます?」

「あのぅ……〝ぶれぶれ〟なんで、もう一度、お願いできますか?」

 

    赤面からの脈拍、血圧共に、急上昇、消えてしまいたいと思った秋の夜。

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