ある夜の出来事 酒場放浪記

  その夜…

「20時で、予約してる鈴木です。」

「先ほど、電話した佐藤です。」

「こんばんはーー、田中で、四名予約してます。」

 

   これら全てお隣の人気〝和食居酒屋青〟さんのお客様、入口を間違えての御来店、、。

「はい…ご予約は、、青さん?…お隣りさんになりますねぇ〜」

歯を見せない程度の笑顔で、手の甲は下に、奥を指します。

  この後の反応が……百人、百通りなのです。

「すいませーーーん、間違えましたーー。」

ビックリする方、

無言で、〝そーーと〟退店する方、

爆笑する方、

心の底から恐縮される方、

彼女に、〝バチッ!〟思いっきり背中を叩かれる彼。

「失礼致しました…後程、お邪魔致します。」

本当に、御来店頂いたお客様もいました。

 

  二名の男性が、御来店頂きボックス席で、生ビールを飲み始めるも…待てど暮らせどお連れ様が来ない。

「……マスター、ここ青じゃないの?」

「いゃ…あのぅ、、お隣りさんになります、、。」

 ここは、最敬礼をして左手を真っ直ぐに。

 

「お時間までどーーぞ、ごゆっくりと、いってらっしゃいませーー!」

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