ある夜の出来事 私がオバさんになっても

 その夜、今年初めてニーナが御来店、大体の話はこんなもんだ…

恋愛 六

仕事 三

親の話が一割といったところだろうか。

で、最近はどうよ…コッチの方は?私は親指を立てる。

「コッチ?」

「そう、コッチ。」

ニーナも親指を立てて意思の疎通を図る。

「ナイ!ナイ!ナイ!」

 私から見れば恋愛体質のニーナ、出逢い系アプリや婚活サイトと色々やってみたけど二、三度会っておしまい。新たな出逢いに疲れきったニーナは、全ての出逢い婚活アプリを解約する事となる。すると、これはこれで出逢いのない一年、二年があっという間に過ぎ…年だけが重ねるの、と話をしてくれる。このままではダメだと思ったニーナは、一念発起して出逢い系や婚活サイトを復活した。

「…お客さんでいい人いたら紹介してよね〜。」

「…うんうん、もちろん。」

私はグラスを拭き上げながら相槌を打ち、ニーナに合いそうな男性を思い浮かべて脳内マッチングをしてみるも即答で応えられない気持ちから

「…ニーナはさぁ〜結婚生活が六年、七年だっけか?幸せな時期もあったんだからさぁ〜いい女だし…焦んなくても、何もないよりはいいじゃない〜。」

私の励ましてとも逃げの一手とも取れるよくわからない発言に…

〝オマエは女心をわかってない〟的な顔をして一言、

 

「…過去は、いーーーの、今の幸せが大事なの。」

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ある夜の出来事 酒場放浪記(2)

 その夜、カップルがスマホを片手に迷いながらも御来店、、、

オシボリをお渡ししてオーダーを待っていると…

「……あのー、ココは、※バーコントンさんでいいですか?」

「いえ、違います!お気遣いなく、二軒隣のお店になりますので御案内しますよ。」

二人は恐縮しながら予約はしてないので今夜はコチラで大丈夫です、となった。二人のデートは、街単位でお店を決めているとの事で、今宵は代々木上原、初の下車となった。私も頃合いを見て雑談に参加させて頂き三杯四杯と杯が進む。彼がスマホをタップして土曜日の終電は早めなのでとお会計のサイン。

「ありがとうございます!」

「いゃぁ〜マスター!今日はねぇ〜〜店は間違えたけど※青ってバーに来れてよかったよ〜〜。」

 

「……いえ、違います!」とは、言えなかった。

 

その夜は、青の大将として完璧に努めさせて頂いた。

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※バーコントン

 スタンダードカクテルからフレッシュカクテル、イタリア産生ハム&サラミ、ドリアなどお食事も充実、当店より徒歩30秒。

※青

    季節の食材を活かした和食居酒屋さん。レアな日本酒、焼酎など充実カウンター席で一人でも楽しめる、当店の隣。(敬称略)

ある夜の出来事 朝まで踊ろう

  その夜もラストオーダー、表に出て四つん這いになり必死に看板のスイッチを探していると、

「あっ!終わりですか?」

後方から声が聞こえ振り返ると一組のカップルが立っていた、時短営業の閉店三十分前。

「いえ、ハイ…一杯ぐらいなら大丈夫ですよ。」

二人は顔を見合わせてうなずきカウンター席に御案内させて頂いた。

 

  女性の頬は、ほんのり赤く二軒目と推測出来た。オーダーはマッカラン12年のロックとアメリカンレモネード。お酒を提供するまで二人の会話が途切れる事はなかった。会話から大まかな関係性は汲み取る事が出来るのですが…、、恋人同士か?いゃ…職場の先輩と後輩か?いゃ……取引先の関係か?

「あの時さぁ…」

「あの頃ってさぁ…」

久々の再会を楽しんでいるのが伝わった。女性はお酒が進まないまま男性の話に咽せ笑いして、水を呑みながら軽く胸元を叩く、男性は私に、

「……もう一杯頼んでもいいですか?」

「どうぞ。」

男性は女性のグラスを指差して〝私はいらない〟と首を横に振る。

 

二杯目のウィスキーを飲み終わる頃、彼から突然のプロポーズ。

 

(中略)

 

 彼女は両手を顔に当てて泣きだしてしまった。彼は今夜プロポーズしよう決めていた事を一から説明し始めた。

私の出来る事はもう少し営業時間を伸ばして語り合ってもらうしかない、彼女は水を飲み干して落ち着きを取り戻しお絞りをたたみ直した。彼がお手洗いに立たれた時にお声掛けをさせてもらった。

「いゃーーおめでとうございます!」

「ありがとうございます!…嬉しいです…昔、彼に告白したら振られたんです。」と微笑む。〝この娘は、えーーー娘だわーー〟

彼はお手洗いから戻り笑顔でお会計のサイン。

「ご馳走さまでした!」

「こちらこそ、ありがとうございます!」 

 静まりかえった代々木上原の住宅街、お二人を外までお見送りする。まだまだ話し足りない二人は、一度も振り返る事もなく十字路を左に曲がった。〝よかったよかった〟カウンターに残された二客のグラスを下げながらニヤける。彼女がポツリと言った独り言が忘れられない。

 

「…今夜は幸せ過ぎて寝れないかも。」

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ある夜の出来事 青いパパイヤの香り④

 今晩は店主の石原で御座います。季節は夏から秋へ…移り変わってまいりました。オープンエアーの当店は今年も何処からともなく鈴虫の鳴く♬♪🎶がBGMに…渋谷区は緑も多いのです。

激動な2020年、令和二年、二月末からのランキングが途中でしたので、そこで今夜は…

ドラフル、勝手にフードランキング第二位!

〝鉄板ナポリタン(名古屋風)〟

 

 このあたりからベトナム色が全くなくなります。

お客様から※スキレットを頂いたところから始まります。当初は、〝あさりとキャベツの酒蒸し〟〝スペアリブの赤ワイングリル〟〝アクアパッツァ〟などなど、、、飽きるまで作りましたが、最終的にレギュラーで残ったのが、このナポリタンでした。

「名古屋風ってなに?」

あんかけスパゲッティの事ですか?」

「ちゃいます!」

スパゲッティの下に、溶き卵が敷いてあります。具材は、ソーセージ、玉ねぎ、ピーマン、隠し味に八丁味噌が入ります。

是非、御自宅でもお試し頂けたらと思います。

 

スキレットとは、鋳鉄(ちゅうてつ)のフライパンのこと。100年以上の歴史を持つアメリカの鋳鉄メーカー、LODGE(ロッジ)の商品が有名です。

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  発祥は、名古屋市東区にある「喫茶ユキ」で、1961年に誕生した。当時、店主がイタリア旅行で、スパゲッティを食した際、途中で冷めてしまうのを不満に思い考案したものである。(ウィキペディア参照)

ある夜の出来事 ドラゴン・タトゥーの女

その夜、開店一時間前にスマホにショートメールが届く。

【カードのご利用確認にご協力をお願いいたします。】

 

〝カード会社からアンケートか?〟

〝引き落とし確定メールか?〟

〝セールスメールか?〟

 

 まぁ気にせず開店準備にとりかかるも、まてよ、、ショートメール(携帯番号)で来るのは珍しい、、、濡れた手でスマホをタップしてサイトに繋ぐと、

[御利用確認   8月25日(火)  15:39  29940円 未確定 心当たりがなければ0120-000-×××にご連絡下さい。]

ほんの一時間前の出来事、カード決済の買い物はしていない。何だ?何だ?フリーダイヤルをタップ、数秒で女性のオペレーターと繋がる。

名前を告げて確認をとる、オペレーター側から小刻みにキーボードを叩く音がスマホから聞こえてくる。

 結論、私のカードで不正使用が発覚した。

お手元のカードはこの電話を切った後は使用できなくなるのでハサミを入れてくれとの事だった。

「わかりました、、わかりました、ハサミを入れます。……差し支えなければ手口を教えて頂けないかと。」

オペレーターのわかる範囲で教えてくれた、手口はこうだ、、、。

 

●8月20日(木)  11:41 某大手のデリバリー業者の会員登録だけをする。(私はしていない。)

●8月25日(火)  15:39 某古着屋のネットショップより29940円の買い物をするが未確定に終わる。(ビンテージのスニーカーをメインに扱うスポーツウェアの古着屋)

 今回の場合は、私のカード情報が漏れたというよりもある存在するクレジットカードを下一桁から一つづつずらしていくケースだとオペレーターはいう。

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 皆様もご注意を…後日、16桁変更された新しいクレジットカードが届いた。

ある夜の出来事 I LOVE…

その夜、いゃ…まだ明るい夕刻時。

「生ビールはありますか?」

看板を点灯して五分、女性二名様御来店頂いた。私はマスクをアゴから口元に移動して

「お好きなお席にどうぞ!」

聞こえてくる会話から久々に再会した親子と判断できた…ビールを飲み干して、

「外食も出来なかった、五ヶ月ぶりの生ビール美味しかったわ」と笑顔のお母さん。

私も自然と笑顔になる。

「また来ますね。」

「是非、お待ちしております!」

 

 実は…ここだけの話…生ビールはこの樽を最後にやめる予定をしていたが、ここに来て気持ちが初心に戻された。

〝やっぱり…生ビールは続けよう〟誓った夜となりました。

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ある夜の出来事 夏の終わりのハーモニー

 2020年3月27日(金) 

東京都外出自粛要請初の週末、、、カウンターを拭きながら外を見る通行人も少なく足早に家路に急ぐ人々。

そんななか、マーベリックが女性と御来店頂いた。

「おーーおーーおーーどーも、どーも!」

〝いらっしゃいませ!〟言えなくなってきた。

 ジンフィズと、モヒートのご注文を頂く、シェイカーに材料を入れながら近況談議、マーベリックの仕事がキャンセル続き明日の打ち合わせも延期、このままでは今後の給料に響いてくると頭を抱える。

「その前に……マスターのところにと思って来ました!」

(とほほ、、、泣かせるではないか……。)

 

 ちょっと、待てよ…話に夢中になりシェイカーに材料を、どこまで何を入れたか忘れてしまった…バレないように作り直しだ。

 

  彼女とは夏の予定を語り合う、旅行、映画、花火大会、レストラン、楽しい時間を努めるものの先が読めないまま振り出しに戻る。

 

(…あれから約五ヶ月)

 セミが〝ジィーーーージィーーーー〟

  お盆ウィークに突入した代々木上原界隈は例年並み人出が少ない。旅行中なのか?巣ごもりなのか?今年は、あの日本道路公団が渋滞予測をたてられないと発表はナシ。イベント、フェス、ライブ、祭り…ことごとく中止となった。来年は倍返しで楽しみますよー…いや、じゅーーーばい返しだぁ!

 

 でもねぇ…せっかくの夏、日本のらしい事ないですかねぇ?

そこで!今月は浴衣で御来店頂いたお客様にグラススパークリングワインと三種のチーズをサービスさせて頂きます!

今夜も熱帯夜…引き続き宜しくお願い申し上げます。

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日本の夏はココにもあります…伊豆市、峠の茶屋さん最高です!