ウェイティイングバーで春を待つ

オープンして十分、

男性一名に御来店頂く

「これから、食事なので一杯だけいいですか。」

「もちろん、どうぞ。」

カウンター席にご案内して

シェリートニックのご注文頂く。

「お近くですか。」

「初台です、でも…

四月に移住するんです。」

引越しではなく移住というワードに決意を感じた。

(中略)

男性は

東京出身三十代、妻と子供三人の五人家族

男性は中学、高校と宮崎県に住んでた事もあり、

妻と何度となく話し合った結果、

四月から宮崎県への移住を決めた。

まずは…

住宅ローンの返済がなくなり、

気が楽にり利益もでた。

宮崎県の生活費は東京の半分、

自然も豊富で

海も山もあり食材も安くて美味しい。

子供が小さいうちの方がいいと思い

移住を早めたと語る。

二杯目の

白ワインカクテルのスプリッツアーを

飲み干して腕時計に目をやり

「お会計お願いします。」

お見送りながら

男性は独り言のように

「とはいえ…

これから色々あると思なぁ。」

お見送りする後姿を拝見しながら思った。

不安材料は先手、先手で先回りして

どんどん潰して解決する、

彼だから成しえる家族思いの移住計画なのかもしれない。

それでは

今夜も

この辺で

素敵な週末を

おやすみなさい。

大谷翔平選手と同じ時代に生まれて…

大谷翔平選手が自身のInstagram

結婚報告をした。

その夜______

リリーが

一旦、自宅に帰ったが

週末ともあって飲みに来てくれた。

「今週も忙しかったなぁ…」と、

ハイボールを召し上がりながら

今週を振り返る。

「もーーー、

大谷翔平ショックだわぁ。」

大谷選手より

ひとつ年下のリリーは

カウンターを這うようにうなだれる。

囲み取材で

「彼女とは短いスパンで何回か会ったって、、、どこだろ。」

「俺も思った、飲み屋じゃないしなぁ…。」

二杯目は、

グラスホッパー(L)のご注文を頂く。

その夜は

世界中の酒場で

祝福と衝撃の酒が酌み交わされた。

も〜ねぇ…

大谷夫妻が御帰国された際は

是非、

ドラフルにも御来店頂きたい!

もちろん、

ノンアルコールカクテルご用意してございます。

(一等宝くじより低い確率だな。)

それでは

今夜も

この辺で

素敵な週末を

good  night…

一杯のビールで幸せな休日を過ごす亮平くんの巻

その夜_____

女性一名がカウンター席で

タリスカーハイボール

召し上がっていた。

〝チリーーーーン〟

鈴木亮平似の若者が御来店

私の方に来て小声で

「…一杯、飲んでいくのでトイレを貸してくれませんか。」

「もちろん、どうぞどうぞ。」

奥を指した。

トイレから戻った亮平くんは

カウンター席を引いて着席した。

私は

「お気遣いなく…大丈夫ですよ。」

「いやいや、是非、一杯呑ませてください!」

笑顔で言ってくれたので

私も

笑顔でメニューをお渡しした。

亮平くんは

ウオッカトニックを召し上がりながら

「最近、仕事のストレスなのか

胃腸が優れないんです。」

数百メートル先の

マルエツ(スーパー)の

トイレまで

乗り切れる自信がなかったとうつ向く。

「あるある、私の場合は、、、

限界で自宅に到着、

靴を脱ごうとかかとに力を入れた瞬間に

GAME  OVER…

ガニ股でトイレに駆け込んだ事を

初対面の

若者に話す私がいた。

気持ちもほぐれてか

二杯目のオーダーも頂く、

(中略)

亮平くんは

大企業の社員、

爽やかで

礼儀正しく

ルックスもいい

モテると思うが彼女はいない。

休日はもっぱら

自宅で筋トレして

大黒湯(銭湯)のサウナで汗を流し

350mlの缶ビールを呑むのが

今は

幸せの時間だと

微笑んでくれた。

それでは

今夜も

この辺で

素敵な週末を…

おやすみなさい。

史上最大のナンパ大作戦は心理戦に突入の巻

その夜

ルシアに御来店頂く

「いらっしゃいませ。」

ルシアは

後ろを振り返りながらカウンター席に着席、

「今、ナンパされました。」

「マジっすか。」

渋谷、新宿ならわかるけど

代々木上原

ナンパされたのは初めてだという。

基本、ナンパは無視をする事はなく

そつなく、

臨機応変に対応しているという。

「逆ギレされても怖いし…」

場所は

地蔵通り商店街の

フジヤベーカリーあたり

後方から男性が

「すいませーん。」

道を尋ねて来たかと思い振り返ると

「これからどこ、行くんですか。」

一瞬にして、

ナンパと判断したものの

「飲みに行く。」

とは言えず、、

「ちょっとそこまで。」

濁したもののしつこく付いて来た。

ドラフルまで

最終コーナーとなった交差点でルシアは

このまま付いて来られても困り、立ち止まった。

男も立ち止まり

「よかったらLINEの交換でも…」

それもあっさり断った、

「タイプじゃなかった?」

ルシアは

首を横に振りながら、、

私はマスクなし、

男はマスク着用、

フェアじゃない。

そりぁーそーだわぁ❗️(拍手)

姫様には

お疲れ一杯、

最高の

カクテルをご用意させて頂きます。

それでは

今夜もこの辺で

素敵な週末を

good night…

名刺から始まるウイスキーの物語

昨今の

ジャパニーズウイスキー枯渇状態…

当店では三年以上

正規ルートでは入荷していない。

そんなある夜

二名の男性が御来店、

カウンター席に

着席して

フェイマスグラウスの

ソーダ割りをご注文頂いた。

乾杯もそこそこに

両手で

お名刺を渡して頂く

そこには

大手酒造メーカーの名前があり

「弊社のウィスキーの

出荷が遅れておりまして申し訳ありません。」

「いえいえ!こちらこそお世話になります。」

以前であれば

社員は自社のウイスキー

お召し上がるところだが

現在、

社員は自社のウィスキーを

飲まないようにと

お達しが出ているそうだ。

「そーなんすねぇ、、

昔なら考えられないですね。」

(中略)

男性は

こんな話をしてくれた。

需要と供給のバランスもあるが

温暖化によって

ウィスキーの熟成が上手く進まないという。

本来、

ウイスキー

十年、一単位だが

数年で

瓶詰めに入る事もあるという。

「そーなんすねぇ…」

当店は開店以来、

ジャパニーズウィスキーの

品揃えを重視してきましたが

2024年2月の在庫は

宮城峡ノンエイジと

知多ウィスキーのみとなっております。

他にも

素晴らしいウィスキーは沢山ございますので

是非、

この機会に

5大ウィスキーの世界を楽しんで頂けたらと思います。

①スコッチ

アイリッシュ

アメリカン(バーボン)

④カナディアン

⑤ジャパニーズ

それでは

今夜も

この辺で

続々と

超大物ミュージシャンが来日してますね

素敵な週末を

good night…

PERFECT DAY

小雨が降り続く日曜日だった。

その夜、

ペアリングをした

御夫婦に御来店頂く

「お好きな席へどうぞ。」

店内を見回して

カウンター席奥①②に御着席、

旦那様は

クランベリージュースを利かしたシーブリーズ

奥様は

ジンバックをチョイス。

(中略)

聞こえる会話から

これから住むと思われる

新居の家具を

スマホを開いて

検討していた。

旦那様が頷きながら

メニュー本を開いて、

「次は飲んだ事のない

エックスワイジィーと…」

(中略)

後に

お会計となり会話に参加させて頂く

「お近くですか。」

「私が代々木上原です。」

と奥様が語ってくれる。

二人は

大学時代からお付き合いを始め

同棲生活を経て

結婚をしたが

仕事の都合で

奥様が代々木上原

旦那様が

横浜での別居生活の四年間、

この度、

晴れて新婚生活が

代々木上原で始まるかと思っていた私は…

新居は

目黒区に決まっていた。

奥様が

「ここのバーは

前から気になっていて

一度行きたいと思っていました。」

「そーなんですね、ありがとうございます!」

「グラスが毎回、素敵で良かったです。」

私は

自己満ながらも…

お客様の雰囲気や

カクテルに合わして

グラスを提供してきたので

この上ない褒め言葉となった。

是非、

渋谷界隈に来た際には

御来店、

お待ち申し上げております。

それでは

今夜も

この辺で

素敵な週末を

good night…

裸の大将とハンチング帽のお爺ちゃん

その夜

開店10分前

着替えているタイミングで扉があく

〝チリーーーン〟

ハンチング帽を被ったお爺さんが

「鈴木さん来てる?」

「いや…まだ御来店頂いておりませんが。」

「アレ?ここは、青さん。」

「いえ、違います、お隣りさんです。」

「ごめん、間違えました。」

とハンチング帽を上げた。

「いえいえ。」

と左手で奥を指す。

この間の私は

上半身裸で

チャック全開のパンチラ状態、

爺さんも私も

その程度の事では

動揺しなくなっていた。

それでは

素敵な週末を!