その夜、日焼けした長髪の男性と女性ニ名が御来店、男性が奥の席を指差したのでボックス席にご案内させて頂いた。
オシボリを手渡しご注文を待つ…
男性の腕は太さは私のニ倍以上あり、
格闘家?
ダンサー?
プロサーファー?
(中略)
男性は岩手県で農業を営み女性二名は銀座のキャバクラ嬢だとわかった。
男性は毎年収穫時期を終えると二週間ほど東京に遊びに来るそうで
今宵は馴染みのキャバ嬢と食後のバーを楽しんでいる。
俗に言うチャラチャラした会話は一切なく
今夜、聞けたのはこんな話…
〝農薬を散布した畑は、虫たちが死に物狂いで隣の畑に移動するのが目に見えてわかる〟
〝虫が食べない野菜を人間が食べている危険性〟
〝虫食い穴空きでは野菜は売れない歯痒さ〟
男性は部屋はたくさんあるので
岩手に遊びがてら畑を見に来たら食の意識が変わるよ、と話す。
翌日、
有機野菜コーナーで立ち止まる自分がいた。