ある夜の出来事 ラストクリスマス

その年の12月、

クリスマスを来週に控えた夜

〝チリーーーン〟

キャリーケースをガラガラ引き

身長180㌢越えのイケメンに御来店頂く

ウイスキーボウモアロックを召し上がりながら

前回、

大学時代の友人三人で

御来店頂いたことを思い出した。

今夜は

22:00東京駅発の夜行バスで

彼女の住む

福島県まで向かうという。

「ステキ♡」

隣席で呑んでいたマライアと

のろけ話を聞く事になった。

イケメン君は

ウイスキーを飲み干し

「実は…

別れ話をしに行くんです。」

東京と福島の遠距離恋愛

彼女は既に

レストラン予約から

クリスマスプレゼントも

用意してくれ

春からは

東京で同棲の話も出ていると語る。

(長い中略)

「マスター、別れ話を切り出すタイミングはいつがいいですか。」

私は…

雪が降る福島県

プレゼントを抱えて

彼の到着を心待ちしている

彼女の気持ちを思うと

答えが出なかった。

二杯目を飲み干した

イケメン君は

「そろそろ、バスの時間なので。」

お会計をしてお見送り

「じゃ…気をつけて。」

「はい、行って来ます。」

お見送りする後姿は

コートのポケットに手を入れ

哀愁が漂っていた。

「イケメン君!

キャリーケース忘れてるよ!」

それでは

今夜も

この辺で素敵な

週末を

good night…