ひと夏の体験 

 快晴すぎる正午過ぎの渋谷の気温は34℃…

 

代々木上原は人通りも少なく蝉がジージーと鳴き声だけが響き渡る。

 

そんな午後、初台に住むセレーナにご来店頂いた。

 

「クリームソーダのクリーム抜くとふつうのソーダ?」

 

「いや、メロンソーダになるな。」

 

「ライムソーダは?」

 

「ライムとソーダペリエに近い。」

 

「…じゃ…レモンスカッシュで」

 

セレーナはヘアゴムを口にくわえ髪を束ねながら

 

今朝までの彼とのお泊まりデートはホモサピエンスにおける

〝三大欲求〟

の全てをモーラしたと赤裸々に語ってくれた。

 

〝食欲〟

 スマホから写し出されるは昨夜のディナー、飲食店の端くれの私から拝見させて頂いてもプロの領域、大皿の真ん中には白身魚のソテー、周囲には赤いソースがくる〜〜っと描かれている。

 

「彼は料理人か?」

 

「うーうん、システムエンジニア♡」

 

プロ並みの仕上がりに厳選されたフランスシャブリの白ワイン…セレーナの胃袋は完全に掴まれた。

 

〝睡眠欲〟

富ヶ谷の高級デザイナーズマンションに住む彼宅、スマホから映しだされるスケルトンの内装からお洒落度合いが伝わる。

 

「これがベッドで…これがバスルーム…これがトイレ。」

 

 特筆する点はゲスト用に別のベッドが用意されており私のベッドより寝心地がいいのとセレーナははにかむ。

 

〝性欲〟

それは…ひ・み・つ・