ある夜の出来事 君は薔薇より美しい

今晩は、店主の石原で御座います。

 

その夜、カウンターの椅子にもたれながら、両手を頭に乗せて、一杯呑んでいる彼の携帯電話に、彼女からの着信

 

「今、タクシーに乗ったから‥‥。」

 

彼は「?」

 

後に、一分も経たないうちに、店の前に、

 

「チッカ、チッカ、チッカ」と、ハザードを点けたタクシーが止まります。

 

ん?彼は、立ち上がり彼女が、乗車しているのを確認します。

 

「えー?何だよ、お前、どっから乗って来たんだよ?」

 

代々木上原

 

「はぁ?」

 

どうやら、突然の激しい雨風の為の選択だったようだ。

 

「だったら、コンビニで傘、買って来ればいいだろよーー」

 

彼女に詰め寄ります。

 

ダメダメ!そう、綺麗に巻かれた彼女の髪型は、美容室の帰り道、最高の状態で、彼に、逢いたかったのです。

 

なるほどねーー

 

「いやぁ〜マジで、佐々木希かと思いましたよ‥‥ホントに、ホントだって、」

 

私も調子いい事を言って、御着席頂きます。

 

「あのねー、マスターね、金、払うのは俺だよ‥‥。」

 

傘もささないで、タクシーの助手席の窓から体を入れて支払う、彼の後ろ姿は、雨に濡れている‥‥。f:id:bardragonfruit2002:20180506023940j:image