ある夜の出来事 勝手にシンドバッド

    週末の夜、ケイトが、神妙な面持ちで御来店頂いた。

「……勝負下着だったのに、、、」

  頭を傾げながら、モスコミュールを片手に今夜の話をしてくれた。

 

     取引先、五つ年上の男性と、四回目のデート、、誘われたら彼の自宅に、ついて行くつもりだった。

    表参道〝CIKADA〟での食事も二軒目〝BAR  RADIO〟の会話も笑顔も絶えない、もーーしぶんのない展開だった。

終電まで数本あるが、手を繋ぎゆっくりと、千代田線表参道駅に向かう

「ケイトさん……もし、よろしかったら…今夜…僕の家に…来ませんか?」

  願ったり叶ったりの展開だが…ケイトは、

「ハイ!行きます♡」とは、言えなかった。

  少し拒んだところを〝グイグイ〟引っ張って欲しかったと、乙女心を語ってくれた。

  彼は、あっさり塩味…撤退、撤収の気配…表参道駅の階段を下りて行く、改札を通りホームで解散となる。

「またね。」

 先に、ホームに到着した代々木上原方面に乗り込み御来店頂いた。

 

 ケイトは、デートの話を身振り手振りでしてくれるが、私は、右から左へと話が、通過するだけで、全く、頭に入って来ない…まるで、サイレント映画を観ているようだ。

 

  その訳は、〝はっきり〟している。

ケイトの〝勝負下着〟を想像してしまい、脳内劇場が開幕、完全なる妄想ナイトになってしまったからだ。

f:id:bardragonfruit2002:20191121203015g:image