ある夜の出来事 私がオバさんになっても

 その夜、今年初めてニーナが御来店、大体の話はこんなもんだ…

恋愛 六

仕事 三

親の話が一割といったところだろうか。

で、最近はどうよ…コッチの方は?私は親指を立てる。

「コッチ?」

「そう、コッチ。」

ニーナも親指を立てて意思の疎通を図る。

「ナイ!ナイ!ナイ!」

 私から見れば恋愛体質のニーナ、出逢い系アプリや婚活サイトと色々やってみたけど二、三度会っておしまい。新たな出逢いに疲れきったニーナは、全ての出逢い婚活アプリを解約する事となる。すると、これはこれで出逢いのない一年、二年があっという間に過ぎ…年だけが重ねるの、と話をしてくれる。このままではダメだと思ったニーナは、一念発起して出逢い系や婚活サイトを復活した。

「…お客さんでいい人いたら紹介してよね〜。」

「…うんうん、もちろん。」

私はグラスを拭き上げながら相槌を打ち、ニーナに合いそうな男性を思い浮かべて脳内マッチングをしてみるも即答で応えられない気持ちから

「…ニーナはさぁ〜結婚生活が六年、七年だっけか?幸せな時期もあったんだからさぁ〜いい女だし…焦んなくても、何もないよりはいいじゃない〜。」

私の励ましてとも逃げの一手とも取れるよくわからない発言に…

〝オマエは女心をわかってない〟的な顔をして一言、

 

「…過去は、いーーーの、今の幸せが大事なの。」

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