その夜
二十三時を回った頃
年の離れたカップルに御来店頂く
残り二席の
カウンターにご案内した。
男性はダイキリ
聞こえる会話から
某出版社の
部長男性(51)と部下女性(30)
もっぱら部長が今と昔では
仕事の進め方が違うと熱く語る。
女性は
部長に敬意を払いながらも責めまくる。
(中略)
昨今、
何かと
ハラスメントとご意見が出る時代だが…
今夜のお客様は
どーーーー見ても
女性が
部長を連れ回している感じで
微笑ましくも見える。
女性は
もう少し部長の話を聞きたい様子だが
部長は
明日もあるからと
私に〆のサインをした。
「ありがとございます。」
女性は
席を立ちお手洗いに…
部長は
ポケットから一万円札を出して
「お願いですが…五千円札、二枚にしてくれませんか。」
「かしこまりました。」
これは、
大切な部下に
タクシーで帰ってもらう為のお車代だ。
手早く両替をして
お会計は
カードでお支払い頂いた。
女性が
お手洗いから戻り退店、
「御来店、ありがとうございました。」
お見送りする二人の後ろ姿、
部長は
背筋も伸び足取りも軽く
酔っている様子はなかった。
女性は
ホロ酔いながら
「ごちそうさまでしたー♪」
部長に軽く頭を下げ、
代々木上原駅方面に向うのだった。
それでは
今夜も
この辺で
素敵なゴールデンウィーク後半戦を!
おやすみなさい。